神様の隣で、君が笑った。
 

ADHDといっても、人によって症状は様々だ。

そのぶん、ADHDというものをよく知ろうとしなければ理解するのは難しい。

そもそも先生は、ADHDというもの自体を知らない可能性だってある。

発達障害を抱えている人が、何を苦手としているのか。

どうして世の中を生きにくいのか、先生は知らないんだ。

教師だからといって、なんでもできるわけじゃない。

先生だってただの一人の人間だから、完璧じゃないということもわかっているけれど……。


「月嶋、まただんまりか?」


だけどこんなの、酷過ぎる。

初めから問題に寄り添おうとも思ってない人が、どうして教師になろうと思うの。

人の痛みにも気付かない。人の心に平気で傷をつけられる人間が……。どうして人を、指導できるの。


「ハァ……本当にお前は、いい加減に──」


──ガタンッ!!


「……っ!!」

「ひゃあっ!?」


その時、一際大きな音が教室中に響きわたった。

響いたのはクラスの女の子の一部が上げた、短い悲鳴だ。

反射的に音のした方へと目をやれば、そこには自身の机を思いっ切り蹴り飛ばしたらしい、陸斗くんがいて……。

私は思わず息を飲んでから、とても静かに声を零した。

 
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