神様の隣で、君が笑った。
 

「ごめん……今、時間あるかな。少しでいいから、俺の話を聞いてほしい」


私には、その誘いを拒絶することなんてできない。

思わず小さく頷くと、たった今開けたばかりの扉をリュージくんが後ろ手で静かに閉める。

図書室の前。静かなその場所にも第三音楽室へ続く廊下で聞こえる、野球部の掛け声が届いていた。

知らず知らずのうちに視線を足元へと落としていた私のつむじに、リュージくんの短い溜め息が落ちてきて、再び心が小さく軋んだ。


「ふぅ……。まずは、昨日の朝は、ごめんな。一方的に、なのちゃんを責めるような口調になっちゃって……。冷静になったら、あのときのりっくんの言う通り、俺はすごく出過ぎたまねをしたと思った」


「反省してる」と続けたリュージくんの言葉に、私は俯いていた顔を上げた。

そうすれば困ったように笑う彼と目があって、それだけで鼻の奥がツンと痛む。

 
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