神様の隣で、君が笑った。
 

「リュージくん、ありがとう……」


指先で涙を拭った私は、真っ直ぐにリュージくんを見上げた。

ありがとうなんて、どれだけ伝えても足りないけれど、言葉にせずにはいられなかった。

本当はもっと伝えたいこともあるのに、『ありがとう』しか出てこない。


「ありがとう、リュージくん……ほんとに、ほんとに……」

「なんだよ、急に改まって……もうそういうの、いいから。マジでさぁ……」


声を震わせたリュージくんを前に、胸が痛む。

今、彼を泣かせたのが自分だと思うと、余計に心が大きく軋んだ。


「でも……ありがとうって言ってくれるなら、俺から最後に一つだけ、お願い、してもいい?」

「お願い……?」

「……うん。ほら、今、俺達特進科はグループワーク、やってるだろ。そのプレゼンを、今週の金曜日の午後に講堂でやる予定なんだ。その日は、来賓の人たちも来る予定なんだけど、もし良かったら、なのちゃんにも来てほしいと思って」


今週の、金曜日。その日は普通科と商業科は午前授業の日だ。

特進科は通常通り、一日授業だということも、私は日比野さんから聞いて知っていた。

だけどまさかその日が、プレゼンテーションの当日だとは夢にも思わなかった。

 
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