腹黒王太子の華麗なる策略
優しい王太子の顔で「身体を見せて」と言ったところでアンが素直に言うことを聞かないのはわかっていた。

だから、狡いやり方だが、彼女を誘惑して身体に傷がないか確かめたんだ。

まあ、俺もかなり楽しんだのは否めないが……。




アンが城出したのは宴が始まってしばらくしてから。

彼女の気配がなくなれば、俺にはすぐにわかる。

それは、魔力のせいではなく、勘が働くのだ。

多分、赤ん坊の頃から一緒にいて彼女と強い絆で繋がっているからかもしれない。

ディオンから話を聞いていたし、アンはずっと俺のことを避けていたから、彼女が城を出ても驚きはしなかった。

しばらくしたら、宴を抜けてアンを連れ戻しに行こうと思っていたんだ。
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