腹黒王太子の華麗なる策略
モコが聖獣なのははっきりしたし、アンの出生の謎についても、俺の見解を彼女に伝えておくべきかもしれない。

それに……俺の胸に広がる黒いあざについても、真実を告げないといけないだろう。

いつまでもはぐらかせない。

俺が魔力を使ってもアンは恐怖を感じてはいなかったが、悪魔と契約したことを言えばかなり動揺するかもしれないな。

いつもの俺なら衣が破れていたことに気づいていただろうに……。

あの時は、アンをフィオナ達から遠ざけることしか頭になかった。

油断していては、ルシファーやフィオナ達にいつか足をすくわれる。

もっと強くならなければ……。

俺自身の問題を解決するためにも〝あれ〟が必要だ。

自分の真っ黒な爪をじっと眺める。

モコが聖獣とはっきりわかった今、〝あれ〟の在り処が掴めるかもしれない。

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