腹黒王太子の華麗なる策略
大丈夫。彼はまだ眠っている。

クリスの寝顔を確認して、静かにベッドを出た。

部屋のカーテンはそのままにしておく。

クリスは当分起きないかもしれない。

昨日はだいぶ元気だったけど、彼がベッドを出ようとしなかったのは、まだ体力が完全には回復していなかったからじゃないだろうか。

ふと、テーブルの上に置いてある水差しを見て、急に喉の渇きを感じた。

「ずっとベッドの中にいて、水もあまり飲まなかったもんね」

コップに水を注ぎ、ゴクゴクと一気飲みする。

テーブルには昨日食べ残した果物とパンが、その横にある椅子にはクリスと私の着替えがそのまま置かれていた。

起床の鐘が鳴ったばかりだし、今朝はまだコレットはここに来てはいないのだろう。

彼女と鉢合わせする前に、ここを出なきゃ。

< 129 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop