腹黒王太子の華麗なる策略
脱いだ衣を持ってクリスの部屋を出たら、ディオンの部屋のドアが勢いよく開いて、ディオンが飛び出すように出てきた。

「「あっ!」」

お互い顔を合わせてそう叫び、慌てて手で口を押さえる。

びっくりした!

まさかまた朝からディオンに会うなんて思わなかった。

タイミング悪すぎ。

どうしてクリスの部屋で寝た時に限って彼は早起きするのか?

でも、衣ははだけているし、髪もいつもに増して寝ぐせが酷いし、なんだかディオンの様子がおかしい。

それに、顔もげっそりしていない?

自分のことを突っ込まれる前に、こちらからディオンに声をかけた。

「ディオン、こんな朝早くからどうしたの?」

「ち、ちょっと剣の練習に……」

私から視線を逸らし、ディオンは小声で答える。

ん?
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