腹黒王太子の華麗なる策略
なんか怪しい。

「その寝間着で?剣だって持ってないじゃない?」

そう指摘したら、ディオンはムキになって言い返した。

「煩い!城の周りを走って身体を鍛える……んぐ‼︎」

ディオンの大声に慌てて彼の口を押さえる。

「しっ!クリスが起きちゃうじゃない!」

キッとディオンを睨みつけて注意すると、彼がマズイって顔になって、私の目を見て申し訳なさそうに頷いた。

「もう大声出さないでよ」

ディオンの口から手を放し、声を潜めて問い質す。

「本当は剣の練習なんて嘘でしょう?ディオンの部屋に変な虫でも出た?」

こんなに図体がデカいのに、ディオンは虫が苦手だ。

「虫?……ああ、まあそんなとこだ」

ディオンの目が泳ぐ。

……何か隠してる。

「あんた嘘つくの下手よね。目を合わせないんだもん」
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