腹黒王太子の華麗なる策略
呆れたように呟けば、ディオンはムッとした顔になってキレた。

昔から彼は心にやましいことがあれば、怒って誤魔化す。

「う、煩い!そういうお前はどうなんだよ!ずっと兄上の部屋にいたんだろ?」

ラルフ宰相にはクリスのベッドにいるところを見られた。

だから、ディオンは私がクリスの部屋にずっといたことを多分知っているのだろう。

クリスと男女の関係になってはいないけど、それに近いことはあったし、追及されるとなんて言っていいのか返答に困る。

今度は私がディオンから顔を背けようとしたら、彼の鎖骨にある鬱血痕が目に映った。

よく見れば首筋にもある。

先日はそれをディオンに突っ込まれたけど、今日は私が彼に聞きたくなった。

今の私には、その鬱血痕がどういうものだかよーくわかる。
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