腹黒王太子の華麗なる策略
もっと詳しく聞きたくてディオンに先を促すと、彼は私を見ずに上を見て驚愕に震えていた。

「ディオン?」

首を傾げて彼に声をかけるが、彼はただ震えるだけ。

どうしちゃったの?

そう疑問に思ったところで、クリスの氷のように冷たい声が頭上から降ってきた。

「ディオン、前に何も言うなって言ったはずだが、忘れたか?」

周囲の空気が一気に氷点下まで下がったような気がするのは気のせいだろうか?

なんかゾクゾクしてきた。

「ひょえ〜!」

ディオンは奇声を上げ、二、三歩後ずさる。

そんな彼に顔を近づけ、クリスは魔王のように口元に笑みを称えて言った。

「コレットにたっぷりと教育してもらえ」

コレット?

後ろを振り返れば、ディオンの部屋から出てきたのかコレットがいて、ディオンの首根っこを掴んで口角を上げた。
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