腹黒王太子の華麗なる策略
でも、怒りたいのは私の方だ。

ディオンが言ってた悪魔と契約って何なのよ!

クリスの肩の上でバタバタと身体を動かして暴れていたら、元いたベッドにドサッと下ろされた。

彼もベッドの上に乗り、私を怖い顔で見下ろしている。

ここで怯んじゃいけない。

「クリス、悪魔と契約したって本当なの!」

私はクリスを見据え、食ってかかった。

数秒じっと私を見て、彼はゆっくりと口を開く。

「ああ、本当だ」

ディオンの冗談であることを願ったが、クリスはそのサファイアの瞳に暗い影を落とし認める。

ズトンと自分の頭に大きな石が落下したような衝撃が私を襲った。

嘘でしょう?

悪魔と契約だなんて……自分の身に災いが降りかかるかもしれないのに。

私は悪夢でも見ているのだろうか?

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