腹黒王太子の華麗なる策略
彼の結婚の話よりもショックだった。

身体がブルブルと震え出す。

「どうして……悪魔と契約なんか……?」

クリスの両腕を掴んでそう聞けば、彼の胸のあざが目に映った。

このあざってひょっとして悪魔の契約と関係あるの?

「強くなりたかったから。だが、後悔はしていない」

クリスはどこか哀しげな顔で私に告げると、小さく笑った。

「馬鹿……。なんでそんな大事なこと……私に……言ってくれなかったの!」

私はクリスの胸を何度も叩きながら泣きじゃくる。

「ずっと近くにいたのに……何も……知らなかった。私って……そんなに頼りに……ならない?クリスはいつだって……自分で全部背負い込もうとする」

一方的に責め立てる私の顎をクイと掴み、クリスは真摯な目で言った。
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