腹黒王太子の華麗なる策略
昨日も俺に付き合わせてずっとベッドで過ごしていたし、このまま部屋に籠って俺のことで悩んで欲しくない。

俺の身体も回復して、彼女に外の世界を見せるいい機会だと思った。

俺は父の遠征に無理矢理付き合わされたこともあり、インヴァネス以外の国も知っているが、アンはまだインヴァネスの王都を出たことがない。

「あれが海なんだあ!本で読んだことはあるけど、こんなに大きいとは思わなかった。あのお水って飲めるの?」

アンは初めて見る海に興味津々。

その目はキラキラ輝いていて、ドキッとする。

外に連れ出して正解だったな。

彼女の質問に、俺はクスッと笑みをこぼした。

「塩水が好きなら飲めなくはない」

「え〜?あれ全部塩水なの?お砂糖のお水なら飲みたいけど」

アンは肩を落とし、残念そうな顔をする。

そんな彼女の無邪気な発言が可愛くてついからかってしまった。
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