腹黒王太子の華麗なる策略
そう、あの時……ディオンとサンドイッチをつまみながらここでチェスをしていたら、侍従長が部屋に飛び込んできたんだ。



『チェックメイト』

チェス盤の黒い駒を動かし、ディオンに向かって不敵の笑みを浮かべた。

『げ~!なんでそうなる?』

呆気に取られた顔で、チェス盤を見つめるディオン。

だが、すぐに俺に次のゲームを申し込む。

『兄上、もう一回だ!』

『そう言って五回勝負した。もう諦めろ。お前は策士にはなれないな』

ディオンに突き放すように言う。

『そ、そんなことはない。次は勝つ!』

ディオンは食い下がるが、俺は足を組んで椅子に仰け反り、冷たく言い放った。
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