腹黒王太子の華麗なる策略
廊下を駆け抜け、螺旋階段を駆け上がり、父の執務室へ向かう。

いつも父は、そこでフィオナを呼んで昼食をとるのだ。

執務室のドアを開けると、すぐ目の前に血まみれのグレン宰相が倒れていて、顔を歪めながらうっすら目を開けた。

『ク……クリス様、申し訳……ありません。フィオナに……逃げられました。あの魔女……』

グレンは息をするのも苦しそうな状態なのに、俺の腕を掴み必死に伝えようとする。

フィオナは父を殺して、インヴァネスを手中に収めるつもりなのだろう。

『いい。もう喋るな、グレン』

俺はそうグレンに声をかけると、辺りを見回す。

すると、奥の方で父が絨毯の上に横たわっていた。

『多分、毒を飲んで椅子から転げ落ちたんだな』

俺は状況を見て冷静に判断する。

何かスープでも吐き出したのか、絨毯にシミができていた。

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