腹黒王太子の華麗なる策略
目に熱いものが込み上げてくるのを感じながら頷き、宰相の目を手で塞ぐ。

『お前のことは好きだった。……安らかに眠れ』

そう告げると、俺は長剣を抜いた。

フィオナには、剣では勝てない。

この国を守るためには、魔力が必要だ。

躊躇ってる時間はない。

昔読んだ悪魔の召喚術の本を思い出し、長剣で指を切って血で魔法陣を描く。

そして、呪文を唱え、悪魔を召喚した。

どんな悪魔が現れるかは運次第。

魔法陣をじっと見据えていたら、俺と同じ姿をした悪魔が現れた。

髪と瞳が黒くて頭に角がある以外は、俺と全く変わらないその容姿。

驚いて一瞬言葉が出なかった。

これが……悪魔か?

もっと大きくて得体のしれない悪魔が出てくると思っていた。

下級悪魔かと思ったが、その悪魔からはどこか不気味な雰囲気を感じる。
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