腹黒王太子の華麗なる策略
当分は生きていることにしておこう。

俺の魔力でこの時は遺体が腐敗しないよう処置を施した。

だが、次の日、魔力を使った反動で俺は寝込み、胸には黒いあざができていた。

今後父の遺体をどうするか悩んでいたが、新しく宰相になったラルフが若い魔女を見つけて来た。

それがコレットで……。

魔女の彼女に遺体の処置を任せ、三年の月日が流れた。

長いような、短いような……。

「……クリス様……クリス様」

ラルフの声でハッと我に返る。

俺が気づかない間にラルフとディオンが部屋に入って来ていた。

「ああ、悪い。ちょっと考え事をしていた」

心配性のラルフは俺の顔を覗き込む。

「ディオン様ならともかく、クリス様がボーッとされるなんて珍しいですね。まだ完全には回復されてないんじゃないですか?」

「おい、ラルフ、俺を持ち出すなよ」
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