腹黒王太子の華麗なる策略
アンは俺の身を案じていたし、聖剣を探しに行ったのかもしれない。

「……あの無鉄砲」

思わず悪態をつく。

オリン山にはエッジウェアの騎士がいるのに、俺に何も言わずに行くなんて……。

「ちょっとオリン山までアンを探しに行ってくる」

ラルフ達に告げると、ふたりとも「「オリン山?」」と素っ頓狂な声を上げた。

ふたりに詳しく説明している時間はない。

「聖剣探しだ」
それだけ伝えて、その場から姿を消した。

そのまま瞬間移動してアンの元へ行くつもりだったが、城全体が大きな膜のようなものに覆われていて阻まれた。

「なんだこれは?」

城門の手前で、憎らしげに空を見上げる。

黒くて透明の膜。

それに、瘴気が立ち込めている。

放置しておけば、城の者の命も危ない。

恐らくフィオナの仕業だ。
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