腹黒王太子の華麗なる策略
私に向かって笑みを浮かべるクリス。

ふとまた水面に目を向ければ、私の顔が映っていてニコッと笑った。

「お待ちしておりました」

「え?ええ~!」

ギョッとして、横にいたクリスにしがみつく。

「ク、ク、クリス、水が喋った~!」

こんなに驚いて大騒ぎしている私とは対照的に、クリスはいたって冷静。

「お前は、水の精か?」

クリスは落ち着いた様子で水面の私に話しかける。

「はい、そうです。サファイアの君」

水の精はそう返事をすると、少女の姿になり、水上に現れた。

……この水の精は、クリスのことをなぜか知っているらしい。

そういえば、昔読んだ本に、妖精や精霊は種類は違っても、仲が良ければ情報を交換して、環境に適応していくって書かれていたっけ。

人間にも友好的なものもいるらしい。
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