腹黒王太子の華麗なる策略
だから、人間の世界のこともよく知っているのかも。

水の精の身体は、水のように透き通っていて、虹色に光っている。

「ラミレス様はこの滝の奥にある洞窟に眠っています。アン様はラミレス様の最愛の人によく似てらっしゃいますね」

水の精は私の顔を見て優しく微笑んだ。

ん?

ラミレス王の最愛の人?

それって、お母さんのこと?

お母さんがラミレス王の最愛の人ということは……。

「私はラミレス王の……娘?」

水の精を見てそう問い掛けるが、少女は何も言わずただ微笑むだけ。

これは、肯定の意味だろうか?

横にいるクリスに確認する。

「クリス……私ってラミレス王の娘なのかな?」

「……そうなのかもしれないな」

ふたりで考え込んでいると、突然滝の水が止まり、大きな洞窟が奥の岩壁に見えた。
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