腹黒王太子の華麗なる策略
「あっ、洞窟!」

私は洞窟を指差して叫ぶ。

「こんなところに洞窟があるとはな」

さすがのクリスも少し驚いた顔をする。

「さあ、ラミレス様がお待ちですよ」

水の精が優しく私の背中を押す。

クリスやモコと一緒に洞窟に入る。

後ろを振り返ると、水の精はニコニコしながら私達に手を振っていた。

中は暗いかと思ったけど、違った。

私達が入ると同時に、外の光を取り込んだかのように明るくなる。

少し進むと、洞窟の奥に黄金の棺が見えた。

「あっ、図書室で見た時と同じ棺!」

なんだろう。

ここに入って一気に鳥肌が立った。

ラミレス王に会えるという緊張。

それに、彼が父かもしれないと思うと胸が踊る。

そんな私の胸の内を知ってか、クリスは私の手をギュッと握って穏やかな目で言った。
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