腹黒王太子の華麗なる策略
それを知っているということは、やっぱりこの人が私の父なのだろうか?

混乱した頭で呆然とラミレス王を見ていたら、クリスに優しく耳元で声をかけられた。

「アン、ラミレス王が答えを待ってる」

ああ、そうだった。

母の娘か聞かれたんだっけ。

「は……はい。私はソフィーの娘です」

緊張で声が震えたが、ラミレス王は私に親しげに微笑んだ。

「ソフィーによく似ている」

ついさっきまで遠い存在に感じていたのだが、このラミレス王の顔を見て思い切って聞いてみた。

「あの……あなたは、ひょっとして私の父なんですか?」

私の勘違いならかなり失礼かもしれないが、どうしても聞きたい。

「私と同じ瞳をしているということはそうなのだろう」

ラミレス王の返事に対して何も返せなかった。
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