腹黒王太子の華麗なる策略
何かの運命だったのではないだろうか。

私がクリスと出会ってなかったら、ラミレス王のことも知らず、ここへも来なかったはずだ。

「もうソフィーは死んでしまったのだろう?」

それは、質問というよりは確認だった。

「はい」

私はラミレス王の目を見て答える。

「ソフィーがいなくなってからまた私は眠りについたが、私が眠っている間に死んでしまったのだな。かわいそうに」

ラミレス王は悲しげに言う。

きっと母が生きていたら、父を見て記憶を取り戻したかもしれない。

お母さん、私……お父さんに今……会えたよ。

美形で、クリスくらい背が高くって……すごく素敵な人だね。

「古文書にはあなたは死んだと書かれていましたが……」

私が質問すると、ラミレス王は小さく頭を振った。

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