腹黒王太子の華麗なる策略
ラミレス王は聖剣を鞘から抜いて、クリスに向けた。

突然の展開に唖然とする私。

すぐに聖剣をくれるかと思っていたけど、私ってやっぱりかなり考えが甘かったみたい。

「ちょっと待って下さい。ふたりが戦うなんて……」

青ざめた顔で止める私の肩に、クリスは手を置いた。

「アンは下がっていろ」

その目は〝止めても無駄だ〟と言っている。

私が下がると、クリスも剣を抜いた。

対峙するふたり。

〝どうか、クリスが怪我をしませんように〟

腕を組んでクリスの無事を祈る。

クリスが強いのはシャメル王との戦いで知っているけど、言い知れない不安が私を襲う。

だって相手は古の王ラミレスだ。

ふたりは鋭い眼光でしばし睨み合う。

でも、ラミレス王が動いて、クリスの顔を狙って何度も剣を振った。
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