腹黒王太子の華麗なる策略
それを、クリスは首だけ動かして綺麗によけていく。

「ほお、面白い」

ラミレス王は口の端を上げると、太刀筋を変え、今度はクリスの脇腹を狙った。

その動きを読んでいたのか、クリスはスッと空を飛び、くるりと回って剣をかわす。

見たところ力は五分五分で、どちらも本気を出していないように見える。

「ラミレス王の剣はこんなものですか?」

挑戦的な笑みを浮かべ、クリスはラミレス王を挑発する。

クリスの馬鹿~!

ラミレス王に何てこと言うのよ!

私は口パクでクリスに文句を言う。

彼がラミレス王に刺されるんじゃないかと気が気じゃない。

「では、本気を見せてやろう」

冷淡に告げてラミレス王がクリスに襲いかかる。

クリスの髪が数本ラミレス剣に触れ、さらりと落ちた。
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