腹黒王太子の華麗なる策略
それを見て彼が刺されたのではないかとハッとする。

もう私には、ふたりの動きが早すぎて太刀筋が見えなかった。

ガシャン、ガシャンと剣がぶつかり合う音が聞こえる。

それはシャメル国王の時の比じゃない。

長く続くかと思ったけど、この戦いは意外にもあっさり決着がついた。

気づけばクリスがラミレス王の喉元に剣を突きつけていた。

……クリスが勝った。

ラミレス王はフッと笑う。

クリスに負けたのに彼は全く悔しがっていなかった。

「人間なのに大した腕だ。魔力も使わなかっただろう?お前は、精神的にも強いのだな」

ラミレス王は感心したように言う。

確かに魔力を使えば、クリスはもう少し簡単にラミレス王に勝てたはずだ。

「魔力に頼り続けていては、せっかく聖剣を手にして悪魔を倒しても、また悪魔と契約してしまいますからね」
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