腹黒王太子の華麗なる策略
私にはこの聖剣がある。

戦うのは怖いし、人に剣を向けるのも嫌だ。

でも、拒んでいては好きな人を守れない。

クリスのお荷物になるだけ。

「その聖剣と娘を渡せ」

シャメル国王は私を指差す。

「誰が渡すか」

クリスはシャメル国王を冷ややかな目で見て吐き捨てるように言った。

シャメル国王は顔をしかめると、「フィオナ、やれ!」と苛立たしげに命令する。

「そうイライラしていては、クリストファーに負ける」

シャメル国王を横目で見てフッと鼻で笑い、フィオナは「使い魔よ、聖剣とあの娘を捕らえよ!」と声高に叫ぶ。

すると、黒い影が五体私の方に迫ってきた。

「無駄だ」

クリスは腕で影を振り払う動作をし、一瞬で影が消えた。

「まだまだ」

フィオナは再び使い魔を出す。
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