腹黒王太子の華麗なる策略
きっとフィオナが魔法の力で騎士を瞬間的に移動させたのだろう。

「キリがないな」

私と背中を合わせ、クリスが溜め息交じりの声で言う。

「わ……私頑張るから、クリスは……一気に魔力で片をつけようと……しないでね」

乱れた息を整えながら、クリスに念を押す。

「無理するなよ」

クリスは私の頭をポンと軽く叩くと、再びシャメル国王に向かっていった。

シャメル国王ひとりならすぐに決着がつくのだろうけど、フィオナがいいところでクリスの邪魔をするのだ。

キッと彼女を睨みつけたら、目が合った。

私を見て口角を上げるフィオナ。

「ああ、そうだ。お前にいいことを教えてやろう。お前の母親を殺したのは、クリストファーだ。母親を殺した男をお前は許せるのか?」

フィオナの衝撃的な発言に瞳が凍った。

「う……そ」
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