腹黒王太子の華麗なる策略
ブルブル震えながら否定するも、急にひどい頭痛がして私は地面にしゃがみ込んだ。

「頭が……割れそう」

「アン……!」

クリスが何か叫んだが、頭が痛くて聞き取れない。

「痛い……」

歯を食いしばって痛みを堪えるも、頭はさらにガンガンして吐き気と目眩がした。

「思い出せ。お前の母親を殺したのは、クリストファーだ」

フィオナの声が直接私の頭に響いてくる。

「ちが……う。私の母は……」

反論しようとしたが、頭にある光景が流れ込んで来た。

それは血の海の中、クリスが母に剣を刺した時の記憶。

私が泣いて叫んでも、彼は聞かなかった。

……そうだ。

今、思い出した。

「クリスは……お母さんを殺した」

そう呟いて、目の前が真っ暗になった。
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