腹黒王太子の華麗なる策略
下に潜ってアンの姿を探すと、キラキラと眩しい光が見えてきて、俺は光の元に向かって泳いだ。

近づけばそれはアンで、聖剣が彼女の居場所を知らせるように光っていた。

アンは気を失っている。

彼女の身体をしっかりと掴んで、そのまま水中に留まる。

今浮上すれば、敵に狙いうちされてしまう。

地上の様子を探れば、モコが奮闘していた。

口から火を吐いて滝壺に敵が近づかないようにしている。

だが、いくらモコが聖獣でも魔法を使える者がふたりもいては分が悪い。

それに、アンの精神的なダメージを考えると、すぐに戦うのは難しいだろう。

〝時よ、止まれ〟

心の中で念じて、俺とアン以外の時間を止める。

過去に何度か試しに時間を止めたことがあるが、その時はかなり体力を消耗した。
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