腹黒王太子の華麗なる策略
「どうしてアンの母親が死んだことをフィオナが知っていたと思う?フィオナが殺したからだ」

俺の説明に納得したのか、「あっ」とアンは声を上げた。

少し冷静に考えられるようになったのだろう。

「私……すごい誤解してた。クリスが私のお母さんを殺したなんて言って……ごめんなさい」

俺を責めたことを恥じているのか、アンは両手で顔を覆って俺に謝った。

「あの状況ならそう勘違いしても仕方がない」

穏やかな声でそう告げ、アンの身体を起こして抱き締める。

「クリス……ごめんね」

アンは俺の胸の中でもう一度謝罪する。

そんな彼女を見下ろし、優しい声で言った。

「誤解が解けたのならそれでいい」

「……ひょっとして、お母さんが死んだ時の記憶がなかったのって、クリスの仕業?」

アンは俺を見上げて確認してくる。
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