腹黒王太子の華麗なる策略
「ああ。あの時は、お母さんの死をアンは受け止められないと思った。記憶を消してすまなかった」

素直に認め、愛おしげにアンを見つめてそう言えば、彼女は小さく頭を振った。

「……ううん。私のためにしてくれたんだよね?私の方こそ、クリスに全部背負わせてごめんなさい。……ねえ、シャメル国王達は?それに、モコは?」

少し落ち着いたのか、アンは戦闘のことを気にしだした。

「外にいる。まだ戦いは終わっていない」

俺は洞窟の外に目を向けた。

「じゃあ、今モコだけで戦っているの?」

モコが心配なのか、アンは不安そうな顔をする。

「いや。時間を止めた。流石にモコだけでは無理があるから」

「時間を止めたって……そんなことできるの?」

アンは驚きで目を丸くした。

「まあね。だが、そろそろ限界かな」
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