腹黒王太子の華麗なる策略
時間をこれ以上止めていたら、シャメル達と戦えなくなる。

スッと立ち上がり、アンに手を差し出す。

「俺を信じて戦えるか?」

「うん。私も戦う」

アンのそのアメジスト色の瞳が曇りなく光る。

彼女は、俺の手を取って立ち上がった。

「じゃあ、濡れたこの服を何とかしないとな」

アンの濡れた服に目を向ける。

「また、私の部屋から持ってくるの?」

「いや。その服だと動きにくいから、服自体を変える」

パチンと指を鳴らして、アンの服を変えた。

侍女の服では裾が長くて俊敏には動けない。

そこで、侍従の服を女性用に作り変えた。

「これ……なんかドレスの丈が短くて恥ずかしい」

新しい服を見て、アンは足が出ているのが気になるようだった。

彼女は裾を引っ張り、細くて長い足を隠そうとする。


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