腹黒王太子の華麗なる策略
「そんなに引っ張ると服が破けるぞ」

「だって……足がこんなに見えて……慣れないよ」

アンは困惑顔。

「戦っていればそんなの気にしてる暇なんてなくなる」

ククッと笑って、アンを手を引いて洞窟を出る。

外にいるものは、みんな石のように固まっていた。

「うわぁ、みんな止まってる。本当に時間って止められるんだ」

アンは呆気に取られた様子で呟く。

「出来れば、これで最後にしたい」

今日決着をつけて、悪魔との契約を終わらせてやる。

右手人差し指の黒い爪にチラリと目をやり、ギュッと手を握った。

「準備はいいか?」

そうアンに声をかければ、彼女は聖剣を強く握った。

「うん」

アンの返事を聞き、時間を元に戻す。

すると、止まっていたものたちが動き出した。
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