腹黒王太子の華麗なる策略
アンを抱き上げて滝を抜け、モコの元へ行く。

俺達が無事に戻ったのを見て、モコはガォーと雄叫びを上げた。

その鳴き声に驚くエッジウェアの騎士達。

シャメルとフィオナはアンが無事なのを見て、悔しそうに目を細めた。

「騎士は私に任せて」

アンは剣を構え、しっかりと正面を見据える。

「もう一度言う。いいか、無理はするな」

アンの肩を優しく叩けば、彼女は「クリスは過保護すぎるよ」とクスッと笑い、敵に向かっていった。


いつの間にあんなに強くなったのか。

聖剣を手にしているせいもあるかもしれないが、アンが輝いて見える。

「俺も負けてられないな」

そう呟くと、アンと聖剣を狙うシャメルとフィオナの前に立ちはだかった。

「お前達の相手は俺だ」

不敵に笑い、天に向かって手を高く上げた。

空が暗くなり、雷鳴が轟く。
< 267 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop