腹黒王太子の華麗なる策略
すぐに終わらせなければ……。

剣を天にかざし、暗黒を呼ぶ。

黒い渦が現れ、その中では稲妻がピカッ、ピカッと走っていた。

「悪を飲み込め」

冷酷に呟けば、強風が吹き荒れ、まずフィオナの使い魔を暗黒の渦は飲み込んでいく。

すると、「ああ〜!」という使い魔の断末魔の叫び声がこだました。

シャメルやフィオナもかなり抵抗していたが、やがて風に吹き飛ばされた。

ふたりの身体は、暗黒の渦に迫っている。

あと少し……、あと少しで終わる。

だが、自分の力の限界がきたのか、突然ガクッと崩折れた。

時を止めたのがかなり効いたか?

俺は下唇を強く噛んだ。

暗黒の渦が小さくなり、風は止まる。

シャメルとフィオナは態勢を立て直し、勝ち誇ったような笑みを浮かべて俺を見下ろした。

「形勢逆転だな、クリストファー」

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