腹黒王太子の華麗なる策略
シャメルは、力が尽きた俺を見て冷笑する。

「すぐに殺すのは惜しい。少しずつ痛めつけてやろう」

「それは、名案。顔は私がもらおう。三百年生きているが、こんな綺麗な顔にはなかなかお目にかかれないからな」

フィオナは俺を見て楽しげに言うと、呪文を唱えて俺の手足の自由を奪った。

俺の意思を無視して身体が勝手に立ち上がる。

それと共に、両手首と両足首に杭を打たれたかのような激痛が走った。

「うっ!」

あまりの痛みに顔をしかめる。

「クリス!」

俺の異変に気付いたアンがこちらに走って来る。

「来るな!」

アンに向かって大きく叫んだが、彼女は止まらない。

シャメルがそんなアンを捕らえようとして、俺は最後の力を振り絞って、彼女をモコの元に瞬間移動させた。

チッと舌打ちするシャメル。
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