腹黒王太子の華麗なる策略
「まだそんな力が残っているのか?」

フィオナは俺の顎を掴んで顔を寄せる。

「ここでくたばるつもりはない」

ニヤッと笑って見せると、フィオナは毒づいた。

「生意気な口をききおって。お前の舌を抜いてもう喋れなくしてやろうか?」

フィオナが俺の目を覗き込んだその時、城のある方角から何かがキラリと光るのが見えた。

来たか。

俺は口元を綻ばす。

「油断大敵という言葉を知っているか?」

俺の言葉にフィオナは間抜けな顔をする。

「はっ?」

「すぐに足をすくわれるぞ」

フィオナにそう注意すれば、空から剣が振ってきて、フィオナとシャメルの胸にグサッと突き刺さった。

それはほんの一瞬の出来事。

「ううっ!」と地面に手をついて苦しむふたり。

「な……何が?」

驚きの声を上げるシャメル。

「どうにか間に合ったようね」
< 272 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop