腹黒王太子の華麗なる策略
アンの呟きにブッと吹き出す俺達。

「では、私もちょっと肩慣らししてきます」

ラルフは穏やかな笑みを浮かべてそう言うと、フィオナのところへスタスタと歩いていく。

「これは私のものなので返して頂きますよ」

紳士的に言うが、ラルフはフィオナが苦悶の表情を浮かべてもニコニコ顔でババアの胸から剣を引き抜いた。

その後もディオンに加わり、何かの舞のような優雅な剣で敵を仕留めていく。

「ラルフって結構……サドなんだ」

戦場でのラルフを目の当たりにし、アンは苦笑する。

「そうだな。あいつは本気で怒らせない方がいいぞ」

ククッと笑いながらアンに忠告する。

ラルフにとっても、フィオナは父親の敵。

にこやかに見せていても、心中は穏やかではないはずだ。

剣で胸を貫かれたシャメルとフィオナだが、普通の人間と違いまだ生きていた。

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