腹黒王太子の華麗なる策略
苦しそうに息をしながら憎らしげに俺を見ている。

今の俺では、彼らの魔力を奪えない。

「アン、力を貸してくれ」

俺はアンに向かって手を出した。

「え?私?」

アンは少し意外そうな顔をしながらも、俺の手を取った。

「そう。アンの力が必要なんだ」

柔らかな笑みを浮かべ、シャメルとフィオナに向かって手をかざす。

そして、彼らの魔力を奪った。

恐怖でわなわなと震えるふたり。

その時、黒い風が吹いて、悪魔がふたり現れた。

シャメルとフィオナに「対価が払えないのならば、その命を差し出せ」と言って、襲いかかる。

それを見て何も出来ずに驚愕に震えるシャメルとフィオナ。

その時、アンが素早く動き、聖剣で悪魔を祓った。

その姿は、まるで聖女のよう。

「元いた場所に帰りなさい!」

聖剣に恐れをなして一瞬にして消える悪魔。
< 276 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop