腹黒王太子の華麗なる策略
フィオナを楽しげに眺め、ホホホとコレットは悪女のように笑った。

「私の優しさに感謝しなさい」

冷たくフィオナにそう言い放つと、コレットはアンの方を見てウィンクした。

そんなコレットを見て、アンと俺は顔を見合わせ微笑んだ。

コレットらしくて粋な計らいだと思う。

「シャメル国王はどうするの?」

アンは俺を見上げた。

「こいつはフィオナにそそのかされたのだろうが、俺の親父に似たところがあるからな。このまま逃すわけにはいかない。だが、こいつにだって家族はいるし、殺せば禍根を残す。聖剣でこいつの邪心を振り払おう」

聖剣は邪気を振り払う。

ラミレス王は聖剣で悪魔に魂を売った者たちの心を元に戻したと、古文書にも書いてあった。

俺の提案にアンは満足げに笑った。

「それは、いい考えだね」

「アン、聖剣をシャメルに向けるんだ」
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