腹黒王太子の華麗なる策略
「聞こえてるぞ。『雷神』と呼ばれているお前に、本物の雷を落としたらどうなるか試してみようか?」

ニヤリと口角を上げてディオンをからかうと、こいつは怯えた目をして言った。

「……兄上が言うと冗談に聞こえない。俺が悪かった」

ディオンはペコリと頭を下げ、平謝りする。

「残念だな。試してみたかったのに」

クスリと笑みを浮かべれば、ディオンはすっかり引き気味で……。

「結果なんて見えてるだろ?兄上の魔力に勝てるわけがない。いや、剣術でも敵わないが……」

真顔で反論するディオンの言葉に、ラルフは深く頷いた。

「クリス様はお強いですからね。魔力なんか使わなくても無敵です。ですから、必要な時以外は、極力魔力を使わないで下さいね、クリス様」

ラルフは俺の目を真っ直ぐ見て釘を刺してくる。

俺の身体を心配しているのだ。
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