腹黒王太子の華麗なる策略
きっと俺の身体のあざは、全身に広がっているに違いない。

〝契約通り、お前の身体、私がもらう〟

頭の中で、俺を嘲笑うルシファーの声がした。

意識が遠のいていく。

このまま死ぬわけにはいかない。

死んだら、ルシファーにこの身を乗っ取られ、あの予知夢のようにアンを殺してしまう。

そうなる前に……。

「アン……聖剣で俺を……刺せ」

息も絶え絶えにアンに言う。

「……そんな……クリスを刺すなんて出来ないよ」

アンは狼狽えながら被りを振った。

「いいから!」

ルシファーに身体を乗っ取られる前に、アンを睨みつけて怒鳴った。

「悪あがきはよせ」

邪悪な笑みを浮かべ、ルシファーは俺の身体を乗っ取った。

これで俺は死んだ……そう思ったが、意識はほんの少し残っている。
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