腹黒王太子の華麗なる策略
アンを残していくのが気がかりだからだろうか?

なんとかルシファーから身体を取り戻せないかと考えるが、身体は自由にならない。

そうこうしているうちに、ルシファーがアンの手から聖剣を奪った。

「あっ」

アンは驚愕に震えながら一歩後ずさる。

〝アン、逃げろ!〟

何度も叫ぶが、アンには聞こえない。

「忌々しい剣だ」

ルシファーは聖剣を掴み憎らしげに呟き、そして、アンを見た。

「ラミレスの娘か。お前も邪魔だ」

冷酷に言って、ルシファーはアンの胸に聖剣を向けた。

〝馬鹿、やめろ!やめるんだー!〟

俺は絶叫した。

聖剣はアンの胸を貫くと思ったが、急に向きを変え、彼女のつけていたアメジストの首飾りを粉々にした。

石が砂となって紫色の光を放ちながら舞っていく。
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