腹黒王太子の華麗なる策略
その時、俺は自分の身体を取り戻した。

またルシファーに身体を乗っ取られる前に、やるんだ。

迷っている時間はない。

俺は聖剣を自分の胸に向けて躊躇わずに力を込めた。

光が自分の身体を突き抜ける感触がする。

それと共に、ルシファーの「ウギャー!」という断末魔の叫び声が聞こえた。

「クリス、いやー!」

最後に聞こえたのはアンの泣き叫ぶ声。

彼女を慰めようにももう身体は動かせない。

〝アン、泣くな〟

心の中でそう言うのが精一杯。

優しい光が俺を包み込んできて、俺は意識を手放した。





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