腹黒王太子の華麗なる策略
ラルフは長々とディオンに説教する。

「こんな人間離れした兄上と比べるな!」

ディオンがクリスを指差して反論する。

「ディオン、人を指差すな。お前もコレットにヒキガエルにしてもらおうか?」

クリスが冷ややかな視線をディオンに向けると、ディオンは「申し訳ありませんでした」とクリスに平謝りした。

そんな光景を見て、平和が戻ってきたんだとしみじみと感じる。

気づけば日が落ちてきて、空は綺麗な朱色に染まっていた。

「少し冷えてきましたね。もう夕餉の時間ですし、城に戻りましょうか?」

ラルフが、みんなに声をかける。

「ああ、動いたら腹が減った。そう言えば、今日食べようと思った朝食が突然消えたんだよな」

顎に手を当てディオンは怪訝な顔をする。

「どうせまた寝ぼけてたんだろ?」

クリスはディオンにそう突っ込むと、私と顔を見合わせ小さく笑った。
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