腹黒王太子の華麗なる策略
それは、いつもの風景。

モコを注意する者はいない。

テーブルの上を歩き、モコは口を使って銀のフォークを落とす。

二本のフォークを床に落とすと、モコは俺の肩に飛び乗った。

「今日はフォークか」

面白そうに呟き、モコの顎を撫でてやる。

モコが悪戯をしたのではない。

毒のついたフォークを見つけ、俺達に知らせたのだ。

ダクトスが素早く床に落ちたフォークを拾い集めると、新しいフォークをテーブルに並べた。

毒がもられているのは、珍しくない。

俺もディオンも小さい頃から毒に慣れる訓練をしていて、少量の毒なら食べても異常はない。

だが、猛毒の場合はさすがに命を落とす危険があるし、俺達が子供の頃からモコが毒の有無をチェックしているのだ。

毒味係は一応いるが、父も毒殺されているし、当てにはならない。
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