腹黒王太子の華麗なる策略
彼は嬉しそうに頰を緩めると、ラルフと共に部屋を後にする。

俺が席に着くと、ディオンも対面の席に座った。

「なあ、もう一度確認するけど、本気で結婚するのか?」

ディオンは、神妙な顔で俺に確認する。

「本気なわけないだろ」

すぐに否定すると、ディオンはホッとした表情を見せた。

「そうだよな。和平のために、兄上が結婚なんてありえない」

「ラルフにも話したが、この結婚の話は、エッジウェアの策略だ。和平など考えてはいない。エッジウェアでは兵の準備をしているし、隙を突いてこの王都に攻め込もうとしている」

それに、シャメル国王は妹を溺愛していると聞いている。その妹を俺に差し出すとは思えない。

「なるほどね」

「これから忙しくなるぞ。ディオン、お前は近い戦いに備えて、歩兵と騎馬隊の準備を進めろ。エッジウェアの兵は五〜六千といったところだ。絶対に王都には侵入させるな」
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