腹黒王太子の華麗なる策略
病弱な彼の身体はもっと細っそりしていると思っていたのに、意外にも逞しくて驚いた。

ゴクッと息を呑み、クリスの喉元を見つめる。

とてもじゃないが、顔を上げて彼の顔を見る勇気はない。

クリスは裸だ。

辺りは薄暗いし、湯けむりではっきりは見えないけど、それでも動揺せずにはいられない。

彼の裸のシルエットを見ただけで、お湯の中に落ちたのだ。

裸なんか見たら卒倒する。

この状況はかなりマズイ。

何か言わなきゃって思うのに、心臓はドッドッドッと大きな音を立てるし、頭も混乱していて言葉が出てこない。

どうやってクリスから離れたらいい?

離れたら彼の裸が見えちゃう〜!

「どうして黙ってるの?僕の裸を見るのがそんなに恥ずかしい?昔は一緒に湯浴みしたのに」

クスリが懐かしそうに言うが、私はカッとなって反論した。
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