腹黒王太子の華麗なる策略
4、月に狂わされるークリスside
「月の光に狂わされた……な」
アンが出て行った浴場で、ひとり月を眺め自嘲する。
悪い自分を見せてしまった罪悪感からか、月の光が目にしみた。
彼女が逃げてくれて良かったと思う。
もし、あのままずっと自分の腕の中にいたら、アンを本能の赴くままに抱いてしまったかもしれない。
愛おしいが故に欲しくなる。
愛おしいが故に……自分を抑えられなくなる。
俺の結婚を知ってアンはひどくつらそうだった。
そんな彼女を見ていたら、つい我を忘れた。
岩場に置いてある着替えに腕を通すと、アンと同室の侍女が現れた。
コレットだ。
「あの子、泣きそうな顔してたわよ。優しい王太子さまが一体何をしたのかしら?」
腕を組んで俺を見据えると、コレットは妖艶に微笑みながら俺を皮肉る。
こいつも魔女だ。
アンが出て行った浴場で、ひとり月を眺め自嘲する。
悪い自分を見せてしまった罪悪感からか、月の光が目にしみた。
彼女が逃げてくれて良かったと思う。
もし、あのままずっと自分の腕の中にいたら、アンを本能の赴くままに抱いてしまったかもしれない。
愛おしいが故に欲しくなる。
愛おしいが故に……自分を抑えられなくなる。
俺の結婚を知ってアンはひどくつらそうだった。
そんな彼女を見ていたら、つい我を忘れた。
岩場に置いてある着替えに腕を通すと、アンと同室の侍女が現れた。
コレットだ。
「あの子、泣きそうな顔してたわよ。優しい王太子さまが一体何をしたのかしら?」
腕を組んで俺を見据えると、コレットは妖艶に微笑みながら俺を皮肉る。
こいつも魔女だ。